映画『ティル』レビュー:1955年の悲劇を描いた衝撃作
先週末に観た映画をご紹介します!
ずっと見たいと思っていたけど、
題材が重すぎて腰が上がらなかった…
僕自身は、何の話なのか知りませんでしたが、
妻からこの事件の概要を聞き、なかなか観る気になれませんでした。
Amazonプライムで解禁されてから、ずっとおすすめに表記されていましたが、
また今度、また今度と見送っていました。
ところが、何を思ったのか、
先週末観たいなーと思い、とうとう再生ボタンを押しました!
『ティル』
映画のタイトルは、『ティル』
本作は、1955年に起こったアメリカの実話に基づいています。
14歳の黒人少年エメット・ティルが、ミシシッピ州で白人女性に口笛を吹いたことが原因で、
無実の罪で白人男性たちにリンチされて殺害されてしまします…
母親のマミー・ティル・モブリーは、息子の悲惨な死を無駄にしないため、
彼の無残な姿を世界に公開し、公正な裁判を求めて人種差別と闘い、
彼女の勇気ある行動が公民権運動の大きなきっかけをつくる物語。
感想
妻はこの事件をもともと知っていたそうですが、
なぜ知っていたのかは覚えていないみたいです。
でも、かなり有名な事件なんでしょうね…
口笛を吹いただけで、殺されるって、
どんな世界戦で生きているんだろう。
陽気な少年が、その陽気さと無邪気さゆえにボロボロな姿で亡くなる。
そして、残された母。
最近子どもが生まれたこともあり、これまでは感じなかった類の感動が込み上げました。
もしも自分の子が…と思うと、耐えがたいシーンがたくさんありました。
そう感じさせる演者の芝居が素晴らしい。
母親はもちろん、エメットの死に目を見た叔母さんも表情も異常な事態に対峙した、尋常ではない感情を表現していて目を見張るものがありました。
妻も思わず、巻き戻して見返していました。
主演のダニエル・デッドワイラーは、本作で数々の賞を受賞しているだけありますね。
彼女の演技でこの映画がここまで気迫のあるものになっていると思います。
子を失い、悔しさと悲しさを原動力として戦う母の勢いは、
さぞすさまじかったと思います。
僕も家族の為なら何でもできると思いますが、
彼女はそれを体現し、後世に残しています。
その姿に同じ親として感銘を受けました。
個人的には、もっと主人公が社会を動かす姿を見たかった。
3時間映画になっても構わないから、彼女の雄姿を見せてほしかったです。
でも、アメリカで本件を踏まえ、法制定がされたのはつい最近の事…
数十年間、どこでこの法案を止めていたのだろう…
世界的に有名になり、放置できるような問題ではないはずなのに…
自分には関係ないし、もう当分前のことなのに、
なぜか怒りさえ覚えます。
本作を鑑賞して、親として、家族を護るために動く力を貰えたと同時に、
社会に対してアンテナを張り続けようと感じさせられました。
ビジネスとかそういうものだけではなく、
世界に対して、過去も未来も、もっともっと知りたいと、
少年時代のような好奇心に駆り立てられています。
この記事を書いていて、良い一層その思いが強くなっています。
こんな余韻に浸れる映画を良い映画と呼ぶんだと思います。
この作品で感じたこと、感じさせられたことを忘れずに、
家族を大切に、明日からも楽しく、エメット・ティルの分まで生きていきたいです。
ぜひ、ご家族や大切な人と一緒に観てください!