映画『aftersun』レビュー|父娘の絆と成長を描く感動のヒューマンドラマ
昨日、妻と観た映画のレビュー。 以前から妻が観たいと言っていたaftersunを観ました。
あらすじ
父親と過ごした夏休みの思い出を、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点から振り返るヒューマンドラマ。
11歳の夏、思春期真っ只中のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムと一緒にトルコの静かなリゾート地を訪れる。二人はカラムが手に入れたビデオカメラで互いを撮影しながら、眩しい太陽の下で親密な時間を過ごします。楽しい思い出が次々と生まれる中、ソフィはカラムの愛情と細やかな心遣いに包まれて成長していく。
それから20年後、大人になったソフィは、当時のカラムと同じ31歳になり、昔のビデオ映像を見返し、映像の中には、大好きだった父との懐かしい記憶が蘇るだけでなく、当時は気づかなかった父親の新たな一面が映し出される。ソフィはビデオを通じて、父親の内面に秘められた感情や葛藤に触れ、父との絆を再確認する。
カラムを演じるのは、テレビドラマ「ノーマル・ピープル」で注目を集めたポール・メスカルで、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役にはオーディションで選ばれた新人のフランキー・コリオが抜擢された。監督・脚本は、これが長編デビューとなるスコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
感想
事前情報なしに鑑賞したため、展開が読めないまま物語に身をゆだねた100分間。こんな鑑賞は久しぶりかもしれない。大体は、あらすじを読んでから鑑賞に至るが、今回は何も考えず、U-NEXTの有効期限のあるポイントを使用したくて、感覚的に鑑賞した。
物語的にも、映像としても非常に良かった。監督の処女作だけあって、映像から新鮮さ?というか勢いを感じる。特に、親子の心象を表現しているであろうクラブ?のシーンに監督の強い芯のようなものを感じさせられた。このシーンは必ず入れたい!こう表現したいと思っていたんだろうなーと意図がくみ取れた。BlurやQueenの選挙区も最高だった。
たぶん、僕は、監督とお友達になれると思った。
また、主演はもちろん、ソフィ役のフランキー・コリオが想像を越える演技!彼女の演技がこの映画の根幹を担っていると思う。演技経験が少ないからこそ、複雑な思春期の感情を正直に表現できていると感じた。父を愛していながらも、なぜか一緒に暮らせない娘の切なさが雑味なく垣間見える。息子ができたからなのか、このあたりがかなりぐっと来た。
父親に関しては、歯がゆさを感じた。何かを抱えていた彼の愛情表現がとても寂しい。こんな未来、嫌だ!!と思いながら、彼のもどかしさを眺めた。いつ訪れるか分からない最期のために、惜しみなく家族を愛したいと思い、背筋が伸びた。
一体、カラムにはどんな未来が待っていたのだろう。何を思い、何に苦しめられていたのだろう。視聴者に委ねられた部分も多いが、その分、鑑賞後の楽しみも多い。個人的には好みの映画。
今後もシャーロット・ウェルズ監督や本作の演者が出る作品は必見。